懐かしの500系新幹線でのんびり旅行 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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懐かしの500系新幹線でのんびり旅行

レッドウィングと500系新幹線「こだま」でゆったり“汽車旅”を楽しむ

 かつて、東京~博多間を「のぞみ」として颯爽と走った500系。新山口から東京まで乗ったのは、10年以上前のことである。スマートで性能もよく、航空機の胴体のような丸みを帯びた車体。人気もあったのだが、特異な車体ゆえに、700系など他の車両と共通に運用することができなかった。そのためもあって、いつしかまま子扱いされ、2010年2月をもって東海道新幹線の区間からは姿を消していた。その後は、山陽新幹線内で、各駅停車「こだま」として余生を送っているのだ。

 山陽新幹線の「こだま」は8両編成である。「のぞみ」のときは16両編成だったから半分の長さに短縮されている。車内も改装され、指定席は、真ん中の通路をはさんで2人掛けのシートが並んでいる。普通車にもかかわらず、グリーン車のようなゆったりした空間は落ち着いて過ごせそうだ。それほど乗客は多くないので、なおさらのんびりくつろげる。

500系車内

「こだま」は言うまでもなく各駅停車。しかも「のぞみ」「さくら」を先に行かせるため長時間停車して待避する駅がいくつもある。まずは、新尾道で9分停車、その後も福山で5分、岡山では26分も停まって、「ひかり」が先に発車した後、「のぞみ」2本を先に行かせた。そんなに急いでどうするの?と言わんばかりの悠然とした態度。「のぞみ」の車内ようにせかせかしたようなビジネスマンの姿は少数派である。新幹線らしからぬ雰囲気は「汽車旅」と呼んでもさほど違和感はない。チャイムとして車内に鳴り響く「いい日、旅立ち」が、妙にマッチしていた。

途中駅で長時間停車

 西明石では18分停車。ホームに降りて、先頭車の写真を撮りに行く。晩秋の陽はかなり傾き、西日が眩しかった。

西明石駅で撮影した500系の先頭車

 新神戸を発車し、長いトンネルを抜けると、外は暗くなっていた。岡山で「のぞみ」に乗り換えていれば、1時間も早く新大阪に到着できたのだが、そんなことはどうでもよくなっていた。新幹線を使いながらものんびり過ごせた列車旅。英気を養って新大阪のホームに降り立ち、しばらく休んでから現実に戻り、満員の東京行き新幹線に乗り換えた。

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